涼介は階段下の倉庫の扉を見つめる。



「誰もいない?」


「みたいだ」



涼介は、周りをキョロキョロと見渡す。


誰もこちらを見ていないのを確認すると。


あたし達は、その狭い倉庫の扉を開け、中に入った。


ガチャ、とドアノブについていた鍵を、涼介が閉める。



「ったく……。

家に防音付いてる奴らは、そっちに行けっつうんだよ」


「ごめんね、今日に限って……」



うちにも防音室はある。


しかし今日は、使えない。


ママが、使うと言っていたからだ。



「しょうがないって。

さ、気を取り直して練習しよう」




狭苦しい倉庫の中。


涼介がポケットから、ピッチパイプを取り出した。