耳障りな高音が聞こえる。


また、あの子が練習室を占領してるんだ。


中に入れるのは、あの子の不愉快な仲間達だけ。




あたしは踵(きびす)を返し、階段に向かった。


あー、ついてない。


どの練習室も、他の生徒にとられていた。


明日がオーディションなのだから、しょうがないけど……。




「おーい、ひなた、パンツ見えるぞ」


「あ、涼介(りょうすけ)!」



階段の下で、一人の男子生徒がヒラヒラと手を振っていた。


私はそちらに駆け寄る。


下着がかろうじて隠れるくらい短いスカートと、

紺色のハイソックスを、涼介がニヤニヤ見ている。


田舎の方じゃ、まだルーズソックスが流行っているらしい。


こちらでは、これが普通だった。


「ダメだー。やっぱりとられてた」


「あー、そっか。

じゃあ、ここしかないか……」