……すぐ、朝になってしまった。
涼介のせいで、あんまりよく眠れなかった。
だって、余計にドキドキしちゃって……。
けど、そんな事は言っていられない。
あたしはシャワーを浴びて部屋に戻り、念入りに顔と髪の手入れをした。
そして、ふとドレッサーの鏡を見ると……。
「……っ!」
鏡の中。
あたしの背中の後ろに、女の人の顔が見えた。
古くさい服を着た、悲しげな顔をしている女の人。
もちろん、振り返ってもそんな人はいない。
その人はこの世には……実在、しないんだ。
私はその幽霊を無視した。
あたしは小さな頃から、
うっかり、お亡くなりになった人が見える事があった。
四六時中見えるわけじゃない。
そうだったら、おかしくなっちゃう。
偶然に波長が合ってしまった霊だけが、勝手に視界に入ってきた。



