ちぃは、床に散らばった薬を片付けはじめる。


どうして?


壊すとか、汚すとか。


ちぃにそんなことができるわけないのに。


……そうでしょう?


本当に悪い人なら、こんな病気になったりしない。


周りに気をつかって、気をつかって、気をつかって。


そういう優しい人だから、

自分を壊していっちゃうんだよ……。



「もしかして、ちぃ……」



そこまで自分を責めるには、理由があるでしょう?


誰とも関わらないでいいはずのこの家で、発作を起こすほどの……。


あたしはちぃの前に座り、その顔をのぞきこんだ。


目があった瞬間、勇気をふりしぼる。




「長島くんに、『力』を使って何かした……?」



ちぃは、一瞬目を見開いて。


すぐに、そらした。



それが、答えだった。