とくん、とくんと心臓が鳴る。
耳の裏で、激しく血が血管の中を行ったりきたりするのを感じて。
自然と、頬が熱くなる。
あたしは一歩も、動けずに。
ただ、小さくなっていく涼介の背中を、見つめていた。
……バカ。
なんで、こんな大事な時にそんな事言うかなぁ?
明日は運命のオーディションなのに……。
涼介は、中学からの親友。
親友と言うか……友達以上・恋人未満なやつだった。
明るい性格で、いつも私を笑わせてくれる。
あたしは中学の時にはほんのり、
涼介に恋心を抱いていた事はあったけど……。
結局、言わず終いで。
今は、この状態がちょうど良いと考えていた。
恋より夢が、私の胸を占める範囲が大きかった。
けど……。
涼介の突然の告白が。
嬉しくないわけは、ない……。
どうしよう。
あぁ……。
涼介と私で主役をやれたら。
こんな素敵な事はないのにな。



