「ではもう成仏するか…?」


《いや、俺は神様に恩を返さないと成仏出来ない。今度は俺があんたを守る番なんだ。》


俺は屋根の上から綺麗に咲いた花を

見つめていた。


「そうか…では、私の願いはただ1つ。私の力を結大に託すこと。」


《えっ?》


「永遠の命は彼のものだ。」


《神様っ…それじゃ、あんたは…》


「私はこの神々の住む世界を平和に出来なかった。もう100年も若き姿のままこの仕事をしているのにな。」


《でもそれじゃあ…》


「大丈夫。私の願いはお前に託した。
だから、お前は結大を幸せにしてやれ。」


《でっ…でも!!》


「彼はきっと私を超える月の神になる。ただ……」


《ただ…?》


「彼の力がいきなり強大な力になる訳じゃない。少しずつ月も翼も彼を認めていくものなの。だからどうか闇には染まらないでほしい…。」


《神様。それは大丈夫だ。簡単に闇に飲み込まれないぞ!!結大は俺の弟だから!!》


「ふふっ…そうね。じゃあこの羽を…」


俺は神様から漆黒に染まった

1枚の羽を受け取った。


《さよならは言わないぞ。》


「もちろん。またどこかで会いましょう」


そう言って神様は消えていった。


神様、ありがとう。俺は笑顔を空に向けた。


あの日神様から預かった物は

俺の大切な神様からの奇跡だった。