それから、このボロボロのマンションに
きて何日たっただろう。
オカアサンは昼も夜もいないし、
結大は泣いてばかり。
こんな夜は今までなかった。
そして俺はこの悲痛な声の響くマンションの
ベランダから大きな月を見つめていた。
そして俺はこの夜に不思議な漆黒に染まった
翼を持つ女に出会うことになった。
スウッと俺の前を通る柔らかな風、
綺麗な漆黒の翼。
満月が赤く照らすのは…
「ほぉ…。お前、私が見えるのか?」
不思議な女が俺に近づいてきた。
《何なんだ!!誰だ!!お前。》
「アハハッ…誰って私は月の神様。」
……この女、俺の声が聞こえてる!?
《お前、何者だ!!》
「私は月天使。願いを叶えるのが仕事なの。でも最近は争いばかりで願いを聞きとげてないわ」
《ふーん…》
そう言って月天使と
名乗った不思議な女と話していたら、
「アオーもう寝るからね!!」
と結大の声がかかった。

