月天使


―――ザーザー……


雨が降りやまない中で

ドアを叩きつける嫌な音がする。


―――ドンドンドン!


オカアサンはいつも

怯えながら、玄関に出ていた。


「すみません。近所の迷惑になりますから夜は…。今から仕事に行くのでお金はもう少し待ってください…。」


お母さんがこう言ってるときは大体

あの日の男が絡んでいるんだろう。


玄関から嫌な声が響いてくる。


「……はぁ!?」


「ごめんなさい…ごめんなさい。」


オカアサンは泣き叫ぶ。

すると、


「おいっ!!」


―――ガシャンッ…


大きな音が聞こえた。

結大はずっと耳を抑えて小さく震えている

ばかりだった。


「怖い…怖い――…」


《結大、大丈夫だ。お前は俺が守る》


俺は結大に寄り添った。

結大はそんな俺をぎゅっと抱き締めた。


《大丈夫…大丈夫だよ。きっと…。》


お前には俺がいる。怖くないよ。

守ってやるから…怖くないよ…。