【ふれあside】
これは私が生まれる少し前の事であった。
母は病弱でありながら私を産むと決意し、
父は仕事が忙しくありながら必ず母の
元に1日1回少しの時間だけど共に
過ごしていたそうだ。
『ねぇ…もし私が死んでも
この子は貴方が大切に育てて
愛を沢山教えてあげてね。』
『ば…馬鹿なことを言うなよ。
秋…君は生きるんだ。この子の為に…
俺たちの未来の為にっ!!』
こんな病室から聞こえた
悲しげな声と優しい笑顔。
愛に溢れた家庭に
生まれるはずだった私。
だけれどね…
『秋っ!!!何でっ…何でだよっ!!この子と
俺だけ残して亡くなるなんてっ…。』
いつもと違う涙色に染まった病室で
私産まれてきたんだ。秋さん(お母さん)は
私を産んですぐ亡くなられたんだ。
そして、強く生きると決意した父もその後
交通事故で私を1人残し、この世を去った。
私はそれからすぐに
裕福な家の人に拾われた。
新しいお母さんは夢野万智(ユメノ マチ)さん。