月天使


「ほら、又私を避けた…。陸、私が嫌い?」


そう言われた言葉に返す言葉が

見つからなかった。好きか嫌いか?

答えられない。この感情は何だろうか…。


「やっぱ私が嫌いなんだね。私、もう陸
には近づかないようにするよ。
でもさっ…少し位は相手してよね…。」


瑠璃愛の顔色が変わった。

寂しい顔。昔見た顔に似てる。

寂しげな夏美の泣き顔に…。


―――ポンッ


「えっ…?」


瑠璃愛が驚いた顔をした。

俺は思わず彼女の頭を軽く叩いていた。


らしくない顔を見るとついやっちまう…。


「バカ野郎っ!!そんな顔するな。
お前はよく似てるんだ。アイツにさ…。」


「それって…?」


「俺の大切な人…死んじまったんだ。
それから女が苦手になっちまって…。」


「…………陸っ!!」



「えっ…?」



―――ガバッ…



俺は凄く驚いた。彼女の小さな体が

俺を優しく包み込んだ。


「辛かったんでしょ…泣いていいんだよ。
私にも弱いところ見せてよ?」


「る…瑠璃愛///!!」


鼓動が高まる。体と体が密着してて、ドキ

ドキいってるのが聞こえてしまいそう…。


「陸、今でもその人が好きなの?」


「………わかんねぇ。」


わかんねぇよ…。でも何でか夏美の事を

どんどん忘れていくんだ。そして、瑠璃愛

が気になって仕方なくなっていくんだ…。