「乃愛ちゃんだね?」


あたしは結大の顔を見た。


「あぁ。アイツなら炎の神としてクリスタルに術をかけておくことも可能だろう。」


「あれがマーズの力…。」


素直に怖いと思った。何であたしに

あんなものを見せたのだろうか…。


そんな事を考えていると、結大が


「わりぃ、俺行くわ!!」


と言ってあたしに背中を向けた。


「えっ…行くってどこに!?」


「炎の洞窟だ。すぐ戻るからそこにいろ。」


「そ…そんなっ!!待ってよ!!」


あたしは手を伸ばしたけれど

結大は跡形もなく消えた。


たった一人、あたしを残して…

奴はすべてを1人で抱え込む。


だから又1人でどこかにいって

あたしの前から消えてしまうんじゃ

ないかって不安になるんだ。



「結大…どうか無事でいて…。」


あたしは朝の日差しを気持ちよく浴びて

遠い空を見つめていた。