女の子は炎の力を使い始めた。


『無駄だ。止めろ乃愛。あの日には戻
れない。もう時は過ぎてしまったんだ。』


結大が彼女の腕を掴んで動きを止めた。


『嫌だっ!!消えないで…。
結大、私はあなたのことを…。』



――――――愛してるから――――――



「いやぁぁぁぁあっ!!」


―――ガバッ…


布団を捲った。何て夢なんだろう…。

一体結大に何があったっていうんだ。


「消えるって一体何?」


本当に夢なの…!?乃愛って呼ばれてた

女の子、見たことがある気がする。


「きっと瑠璃愛の言ってたマーズだ。あの日、あたしを殺そうとした女の子…乃愛。」


でも何であたしを殺そうとしたんだ

ろう…。今まで考えた事も無かったな…。


「乃愛ちゃんか…。綺麗な子だったな…。」


ひょっとしたらさっき見たものは

ただの夢じゃないのかもしれない。


そんな事思いながら

あたしはテントを出た。



「はぁ~…おはよ…結大。」


「何だ!?月、朝からため息か?」


「いや、何でもないよ…。」


あたしはちょこんと結大の隣に座った。


「ふぅ~ん…何でもないんだ~。」


結大があたしの顔をジッと見てきた。