「いや、特にって事はないんだけど
ちょっと気になることがあってね…。」


あたしは大きく息を吸った。


「何…?気になることって?」


やっぱり瑠璃愛には

聞いてもらった方がいいよね?


「うん。あたし、この力をもらう前から結大の事が…月天使が見えてたんだ。」


「えっ!?」


瑠璃愛は凄く驚いた顔をした。


あの頃は2つ付いた漆黒の翼、

黒いスーツと首もとに三日月印。


あたしの知る結大とは別人に見えたんだ。


「あたし、殺されそうに
なったんだ。火の力を使う女の人に…。」


「なるほど…。火の神、マーズね!!」


「うん。で結う大が急に黒い翼を広げて
あたしを炎の渦から守ってくれたんだ。」


あたしの見たものは確かに恐ろしい

光景だった。あの女の人と結大の事は

少し気になりつつも聞けなかったんだ。


結大はあたしを守ってくれたその日に

この世を去る事となったから。


「そして結大はあたしを守って言ったんだ。<もうこの世には戻れない。>と…。あたしに漆黒に染まった羽一枚を残して…。」


あたしは瑠璃愛の方を向いた。

すると、瑠璃愛もあたしの方を向いて、


「き…消えたですって!!」


と言って怖い顔をしていた。