あたしは頭につけてたウィッグを外した。


「瑠璃愛…これがあたしの正体だよ。」


瑠璃愛が顔をあげた。彼女には本当に

悪い事をしてしまったな…。


きっと、あたしが女であることを

伝えるよりも、人の心を読んで

しまう彼女の方が辛かっただろう。


「ごめんね…知らないふりなんてして…。 でも、月は本当に結大くんが好きなのね。」


そう言って瑠璃愛はあたしから、抱きつい

ていた体を離して又夜の海を見つめた。


「えっ…。」


あたしは少し目を見開いて

瑠璃愛の横顔を見つめた。


「貴方がこの道を選んだのは
結大くんがいるからでしょ?」


瑠璃愛は少し笑った。


「もう家には帰らないって決めたからさ。」


あたしもフッと笑って空を見つめた。

あたしは何も知らなすぎるんだ…。

瑠璃愛なら何か教えてくれるだろうか…。


「ねぇ、瑠璃愛。あたしがこの力を持つ
前はただの人間だったって訳だよね…。」


「えぇ。そうだけど…どうかした?」


瑠璃愛は不思議そうに首を傾げた。

彼女のリアクションは分かりやすい。