【月side】


「瑠璃愛、あたしの顔をよーく見て?」


唯一、あたしが女であることを知らない

瑠璃愛と夜の海を前に話を始めた。


「うん?男前だね?」


瑠璃愛はよくわからないと言うように

あたしを見つめた。


あたしは、瑠璃愛から目を離して、

又夜の海に心を預けた。どうか、

あたしに本当の事を話す勇気を…


「瑠璃愛…あたしね、ホントは…。」


あたしが話そうとしたとき、

瑠璃愛があたしの口をバッと手で塞いだ。


「ごめんね…本当は知ってたの…。」


瑠璃愛はそのまま泣きそうな顔をして

あたしに抱き付いてきた。


「し…知ってたって?」


あたしは驚いた。瑠璃愛何でなの…?


「見えてしまうの…人の心が…。」


瑠璃愛はあたしに抱きついたまま

少し辛そうに頭を下げて言った。


瑠璃愛と初めて出会ったあの日も

心を読まれた気がしたんだ。


彼女にはそういう能力があったんだ…。