【月side】

人はどうしていつも上を目指すの?

まるで下なんて見えてない。


君が今、あたしを支えて、あたしが

今、君を支えているとしたら…。


君がもし、あたしの下で苦しんでるとしたら、

あたしは下を向いて『大丈夫だよっ…』って

手を引いてあげられるだろうか…



   自分が上に立つ事ばかり考え

   て大切な君を放って君を悲し

   ませてしまうんじゃないか?



―――ガバッ!!


「はぁっ…はぁっ…。」


布団を思いきり捲りあげた。なんだ…夢か。


最近よく、変な夢にうなされる。


あたしはこんなテント暮らしにも

少しずつ慣れてきていた。


外に出て海を見つめた。

朝早くのこの潮風は眠気を

冷ましてくれてとても心地良い。


「おっ…月、起きたのか!!何かうなされてる声が聞こえたけど!?」


結大は一番に起きたようでまだ、冷え込む

海辺で火を着けて、朝ごはんを作っていた。


「ねぇ…結大。あんたは凄いよ…」


あたしは思わず言葉を溢した。