「遠慮しときます。」
「失礼な・・・。」
早月さんから軽い笑みがこぼれる。
確かに、こう見ると早月さんはとても可愛いと思う。
でも、やっぱり、車で男の価値を判断する人間はこちらとしても遠慮したい。
「そういう望巳くんこそ、今、付き合ってる彼女とかいないの?」
いきなり、何を聞いて来るんだ?この女は・・・。
「え?いないよ・・・なんで?」
「いや、なんとなくだけど・・・・いないんだ・・・ってコトはもしかして片思いですか?」
なんでやねん?
「誰をだよ・・・?」
あきれて、ため息が望巳の口から漏れる。
本当に女性はこういう話題が好きだな・・・。
「例えば・・・・奈津とか?」
「はい?」
思わず、変な声が出た。
それは、ただの当てずっぽうの意見だったのだろうが、その言葉は望巳を動揺させるのには十分だった。
油断していたら、確実に墓穴を掘ってしまっていただろう。



