「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありがとう。」



 しばしの沈黙の後に、大場さんの小さな声が漏れた。



 自分の表情も自然と緩む。



「もう少し、頑張ってみなよ・・・・先輩も頑張るって言ってたしさ・・・。」



 嘘ではない、本心から出た言葉。



「うん。実は言うと、私も別れるつもりはなかったんだ・・・・。よく考えたら、どんな条件にしろ、私と付き合ってくれてるってことは、まったくチャンスがないってわけでもないんだものね。まだ3ヶ月たってないし、先輩の方から何も言わない限り、私頑張ってみるよ。」



「・・・・そうだね。」



 精一杯応援してあげるつもりの言葉は、どこか寂しげだった・・・。





「ありがとう。やっぱり斉藤君に話してよかったよ。これからもよろしくね。」



 素直に笑顔を向ける大場さん。



 この笑顔を生み出す原動が自分ではなく、早川先輩であることがとても悲しい。



「俺みたいな男でよければ、喜んで。」



 それでも今は、彼女が笑顔を取り戻したことを喜ぶことにしよう・・・・。



「フフフ・・・ところで、まだお好み焼きの玉はまだ残っているけど、頼む?」



「うん。」



 正直驚いた。



 速人が相手だったら、二回も焼いて残っていることはないからだ。



 その後、二人はしばらくお好み焼きを挟んでから、談笑して別れた。