夏と秋の間で・甲

「あるよ。もちろん。」



『だったら私、今委員会が終わったから、これから一緒にお好み焼き食べに行かない?私の後輩がそこのお店の娘で、安くしてくれるんだって。』



 なんと!!



 願ってもいないことだった。



 まさか、大場さんに誘われる日が来るなんて夢にも思ってなかった。



『あの・・・それに、昨日ことで少し話もしたいし・・・。』



「うん、分かった、今すぐ行くよ。」



 昨日の話・・・先輩とサンマとのことだろう・・・。



 そう考えると、少し気は重くはなるが、なにはともあれ大場さんからの食事の誘い。



 うれしくないわけがない。



 望巳は電話を切ると、タバコを捨て、隅に捨てるようにおいてあったリュックを肩にかける。



「悪いサンマ。用事ができたから俺、行くわ。」



 右手をあげ、先ほどから呆然としてる亜紀に別れの挨拶をした矢先。



「・・・・・・・・・かないで。」



 か弱い小さな声が亜紀の口から漏れた。