夏と秋の間で・甲

「もしもし?」



 条件反射で、電話に出る。



 瞬間、亜紀が少し寂しそうな顔を向けたが、おそらく気のせい・・・。



『あ、斉藤君?ごめんね、突然電話して。』



 電波越しに聞く大場さんの声は、普通に聞くより幾分か低く聞こえた。



「いや、別にかまわないよ。」



 いつでも連絡しろと言ったのは自分だ。



 心なしか、声が緊張していないかどうか気になった。



『あのさ・・・・斉藤君、今日これから時間あるかな?』



 ・・・・・?