夏と秋の間で・甲

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ねぇ。」



 しばしの沈黙の後に、不意に亜紀が口を開く。



「何だよ?」



「・・・・私たち、いつまでこうしていられるのかな?」




 途方もない質問に感じた。



 体育館裏でタバコを吸って、隣にサンマがいて他愛のない会話をする。



 それがなくなる日なんて、今の望巳にはとても想像できない・・・。



「さあな・・・・。」



 そうとしか言いようがなかった。



「私は何があってもずっとここにいるから。だから・・・・」



 そこまで亜紀が言ったところで、唐突に、ポケットの携帯が震えだす。



 震え方から、電話だということが分かる。



「悪い、電話だ。」



 サンマに断りを入れてから携帯を取り出し、表示されていた名前を見ると、そこに映っていたのは『大場奈津』という文字。



 ・・・・予想外の相手だった。