夏と秋の間で・甲


「良かったの?」



 事情の知らない亜紀の中では腑に落ちないことなのだろうが、説明する気にはなれない。



「あぁ、まあな・・・・。」



 曖昧な返事で返す。



「そう・・・。」



 亜紀はタバコを大きく一息つくと。



「先輩、昨日お礼言ってたよ。斉藤には感謝してるって。あと、たくさん辛い思いをさせてすまないって・・・。」



 もちろん、早川先輩は自分が大場さんを好きなことを知らない。



 それでも、やっぱり遊園地を楽しそうにしていないことには気付いていたのだろう・・・。



「別に、いいよ・・・。」



「先輩にもそう言ってやりなよ・・・。」



「ああ、今度会ったらな・・・・。」



 すごく遠い話に感じた。



 できることなら、早川先輩には二度と会いたくない。



 少なくとも、今は・・・・・・。