「分かってるよ･･･。」



　亜紀は、タバコを一息つくと･･･。



「なんで私なんだろう？････早川先輩ともなれば、世の中の女どもが黙ってないだろうに･･･。」



　自分だってその女の一人なのに、よく言う･･･。



「だから、大場さんと付き合っているんだろう？」



　自分で言って、胸が痛くなるのが分かった。



「あ････ごめん。」



「別に････。さて、そろそろ戻らないとやばいだろう？行くぞ。」



　ベンチから立ち上がり、亜紀を促す。



「うん。そうだね･･･行こうか？」



　その後、二人はわざとタイミングをずらして先輩たちのところに戻っていき、何事もなかったかのように、四人で色んなアトラクションを周った。



　そして、時間も5時を過ぎて、帰りの時間になった時。



「斉藤君、一緒に帰ろう。」



　意外な、大場さんからのお誘いだった。



　『先輩とは一緒に帰らなくていいの？』と、言おうとして、口が閉じた。



　思い出される先ほどの亜紀の言葉。



（そうだ････先輩は、サンマと一緒に行くんだっけ？）



　そう考えると、なんだか目の前の女性がとても可哀想に感じだ。