「悪い、みんな待たせた。」



 亜紀の言うとおり、自転車で登場する早川先輩。



 黒いTシャツに、黒いジーンズ。



 普通なら、黒のくどさが前面に押し出されて、暑苦しいイメージがありそうなのに、この先輩だとソレがない。



 やっぱり、元が違うからだろう・・・・。



「遅刻です。先輩。」



 携帯の時計は、すでに待ち合わせ時刻から5分たった時間をさしている。



「すまない、少しセットに時間がかかってな。」



 言いながら髪の毛をいじる先輩。



 本当に、何をしてもさまになる・・・。



「分かったよ、いいからもう行こう。」



 ようやく着いた先輩を待ちわびたかのように近づく大場さん。



 亜紀に対する当てつけなんだろうが、先輩のことを何とも思ってない亜紀にはどうと言うことはない。



 ソレよりも、おそらく自分が受けるダメージの方が大きい。



(やっぱり、断ればよかったな・・・・。)



 今更ながら、大きな後悔をしつつ、望巳と亜紀は先輩たちについていった。