「うん。昔の話だけどね。ほら、私、真紀と仲良しだから、しょっちゅうサッカー部に遊びに行ってたりもしたし・・・。」



 真紀とは、サッカー部のマネージャーの名前。



 確かに、去年の亜紀はしょっちゅうサッカー部に遊びに行っていた。



 しかし、ソレは真紀と会うためなんかではなく、当時、亜紀は『シュート』の同人誌を書くために、取材に行っていたのだ。



 今更本当のことなど、言えるわけもあるまい・・・・。



 ただ、今の亜紀の発言は完全な失言だった。



「そ、そうなんだ・・・・私、その頃先輩とそんなに仲良くなかったら、知らなかった。」



 今度は、気のせいではない。完全に大場さんの声が震えていたのが分かった。



「え、あ、いや・・・でも昔の話だよ。今は全然そんなことないし・・・。」



 サンマの必死のフォローも時すでに遅し。



 妙に、気まずい空気が流れる。



 早川先輩が訪れたのは、その瞬間だった。