「ありがとう。この本、大事にするよ。」



 先ほどもらった本を必死に押さえつけたところで、ふと思いつくある1つの提案。



 断られたらどうしよう・・・と、思いつつも、言う価値があると思った。



「そうだ、大場さん。バイク好きなんだよね?・・・・だったら、これから俺のバイクに乗ってみない?」



「え?でもスクーターの二人乗りは・・・。」



 もちろん、交通法に違反している。




「大丈夫だよ。田舎道しか通らないしさ、どう?大場さん、俺の後ろに乗るだけなら、気持ちいいよ。」



 今、考えたのだが、優等生で知られる大場さんに対して違法を進めるなんて、なんと無謀なのだろう・・・。やっぱり唐突過ぎたのだろうか・・・・?



「う~ん、だったら少しだけ・・・・。山の手公園までお願いしようかな?」



 瞬間、飛び上がって喜びたい衝動を望巳は必死に押さえつけた。



 うれしかった。何より大場さんを後ろに乗せて走れることが。