「あぁ～･･･そういうことね。どうだろう？好きなら付き合うし、好きじゃないなら付き合わないかな？」



　実に早月さんらしい回答だと思った。



　いったいその笑顔で何人の男たちを騙してきたことか････。



「好きじゃなかったら、ふるってこと？」



「別に、そういうことじゃないよ･･･。別に男女の付き合い方って、必ずしも『カップル』になる必要がないってことだよ。」



　それを、お前が言うか･･･。



　思ったが、確かにそれは核心を突いているような気がした。



　『付き合う』コトだけが必ずしも、男女の取る選択ではない。



　それ以外の選択肢も無数に存在しているのだ。



　しかし････････。



「簡単に言うなよな･･･。向こうは『カップル』になりたがっていたら、どう説明すればいいんだよ？」



　もちろん、亜紀はそんなことは言っていない。



　だけど、アイツは･･････大場さんと一緒にいる自分を見て涙を流した････････。



　絶対に傷つかないと思っていた亜紀が、いとも簡単に崩れ落ちてしまったのだ。



「そのときは、断ればいいでしょ？」



「あのな･･･。」



　そこまで言ったところで、覆いかぶさるように早月さんは声を上げた。



「あのさ、確かに相手を思いやることっていうのは、すごく大事だと思うけど、自分の意見をはっきり言うことだって、時には必要だよ。太刀魚さんを傷つけないよう考えたって、そんなこと他人の望巳くんに分かる訳ないでしょ？」