「ううん・・・。違うの。あまりにもあの二人を見ていたら、とても可哀想だった・・・。」



 早川先輩は、太刀魚亜紀が好きだった。



 サンマが好きなのに、大場さんとつきあった。



 大場さんは、早川先輩が好きだった。



 早川先輩が大好きで、早川先輩が亜紀に惹かれているコトを知りながら、振り向かせようと必死だった。



 幸せとは程遠い、二人の付き合い・・・。



 何度、別れればいいと思ったことか分からない。



「だったら、もっと別の方法があったと思うけど・・・。」



 人の彼氏まで奪うなんて、どう考えたってやりすぎだ・・・。



「・・・・私は、別れた方がいいと言っただけだよ・・・。」



 つまり、付き合おうと言ったのは先輩の方・・・。



 今さら、そんなコトを知ったところで、どうだっていい・・・・。



「あっそ・・・。」



 望巳は、フィルターだけになったタバコを灰皿に捨てる。



 もう一本吸おうと思ったが、箱の中身は空だった。



 今、吸った一本が最後の一本だったらしい・・・。



 まったく・・・・・ついてない・・・・・・・。