「だとしても、イヴァンはどこに行きたいって念じたわけ?」


 珍しく、ティカが会話について来ている。

 いつもなら、どういうこと、とか意味わかんないというのに。


「そういや、ルナ。あの裂け目を通る前のこと覚えてるか?」

 ゲルブが言った。

 …。

 引っかかっていたのは、これだ。でも、まだ何かが引っかかっている。

「…うん。歩いても、どこにも辿りつけなかった、あのときだよね?」

「あぁ。あのとき、俺らには目的地がなかった。目的地がなければ、どこにも辿りつけなかったんだ」

「どういうことよー?」

 
 あぁ、始まった。ティカのおバカぶりが。