「『この顔』、ね……」

 パチンと、不完全ながらパーツがはまった感覚。

 俺は、深い深い溜め息をはいた。

 胸の奥にしこるのは、落胆に近い感情。

 知りたくもなかったことがうっすら想像できて、全部が色あせはじめる。

「俺はね、海樹。

 ずっと、自分の顔が、自分だけのものじゃなかったんだ。

 だから、俺のこの顔が気に食わないって奴が現れたら、まず考える。

 『それって、マジで俺のことなのか?』ってな」

 海樹の表情が、徐々に強張っていく。

 喋りすぎた自分を、責める顔。

 ああ当たりだと、実感が腹の底に落ちた。

 ひどく――重く。