細い路地裏の、鉄製のダストボックスの横。

 スペースを確保して、俺は海樹を放り出した。

「なんだよ!」

 噛み付かんばかりの海樹を、しみじみと眺める。

「お前、『俺のこと』が嫌いなんだな」

「はあ!?」

 そうやって露骨にしかめた表情は、しよりの話をする穂波と、ひどくよく似ている。

 つくづく、似たもの姉弟だ。

「お前、『姉ちゃんにたかる悪い虫』が嫌なんじゃなくて、純粋に『俺』が嫌いなんだろ? なんでだ?」

 ふと気付くと、海樹がきつい目で俺を見ている。

 そんな瞬間を重ねるうちに感じた印象を、口にしてみる。

「関係ないだろ!?」

「まあね。でも、興味がある」

 ――それに、ひっかかりも。