「うちは完全家族経営で、キッチンは父さん。

 フロアは母さん・あたし・弟の三人体制なんです」

 ようやく案内された席で、水のグラスを置きながら穂波が云う。

「いつも、夜のバータイムがあたし、昼が弟、のフォーメーションで動いていたんですけど、弟が今日ダメになっちゃったんですよね」

「……それと俺に、なんの関係が?」

「だって毎日会いたいじゃないですか!」

 悪びれもせず、穂波が胸を張って宣言する。

「……」

 普通は喜ぶべきなんだろうか、ココは。

 甘いセリフのはずなのに、勢いがよすぎで、ちょっと悩む。