「きゃあぁ! いらっしゃいました!」

 続いて、見慣れきったオンナが飛び付いてくる。

 すんでのトコロでよけた俺の運動神経を、誰か褒めてほしい。

 俺の脇をかすり、べしょ、と穂波は、扉に張り付いた。

「う~ひどいですぅ! 熱烈歓迎なのにぃ~!」

 想定内の、想定外。

 『こんなことだと思ったよ』と諦める俺は、かなり穂波的パターンに馴らされている。

 その心理状況が、『まことに由々しき事態』ってやつだ。

「……強いてツッコむなら、『いらっしゃいました』じゃねえよ」

 取り敢えず、恨みがましくにらんでくる穂波に、一言。