窓の外では、相変わらずやまない雨。

 部屋の中では、つけっぱなしのテレビが、しゃかしゃかした音でしゃべっている。

 その前にすえられたブルーのソファには、満足した猫よろしく、くつろぐ穂波が転がっている。

 呑気な風景だ。

「毎日、毎日……お前、家でメシ食わなくていいのかよ」

「ご心配なく。

 うちは理解ある家族なんで、娘の恋の全力疾走を心から応援してくれてます」

「また勝手な応援を……」

「いい家族でしょ!」

 ふわふわと、穂波が笑う。

 しあわせそうな、傷のない笑顔。