「ごちそうさまでした」

 きれいに皿の中身を食べ尽くして、穂波がお行儀よく両手を合わせる。

 満足した猫みたいに、目を細めている。

 ――そんな風に喜んでもらえるなら、悪くもない、かも。

 そんなたわごとを考える時点で、穂波の術中にハマッているのかもしれない。