雨は、きらいだ。

 沈んだ空気が皮膚から内側まで染みこみ、重い物思いを身体の底から引きずり出してくる。

 降り続く雨は、正直うつになりそうなくらい、きつい。

 雨が重なる梅雨の季節なんて、もう最悪。真っ暗だ。


 梅雨が明ければ、夏がくる。

 夏は、『あいつ』が消えた季節。

 いままでの俺の生活が、あとかたもなく壊れた季節。

 そう思うと、夏も希望なんてない気がした。



 はじめて『ひとり』で過ごす、梅雨の時期。

 自覚した瞬間、俺は、外に出れなくなった。