「しよりが、好きなんだけどなあ……」

「……キョウヤくん、中身が口からだだ漏れですよ」

 カフェ【Augasta】。

 五時すぎの暮れなずむ街を眺める席で、いつものぼやきを呟く。

 付き合ってくれる穂波は、かなりご苦労サマだ。

 ちょうどカフェタイムとバータイムの端境期。

 客の少ない店内を一周してから、穂波は俺のテーブルの脇に立った。

 店にいるときは、穂波は絶対に客の席に座らない。

 たかが中学生の『おうちのお手伝い』なのに、そういうところでこいつは、ちゃんとしてる。