古い屋敷にぴたりとはまった、昔の物語のお姫さまみたいなしより。

 そんなしよりを見るたびに、刷り込みみたいに俺は、『好きだなあ』って思う。

 じわりと気持ちが、無条件に染み出してくる。

 だけど、不安にもなるんだ。

 この家と同じにおいのしよりと、ここで生まれたくせに、異分子みたいな俺と、ついでにコウ。

 それが、なんとなく一緒にいられない証みたいで、ふと怖くなる。

 いつかどこかに用意されてる、別れの予感みたいな気がする。