「コウヤくん、好きです」

 ぼんやりした俺に、穂波がいきなり切り込んでくる。

 くりくりした目が、まっすぐ香也にそそがれていた。

「だから、彼女になることにしました」

「決定?」

 ずばぬけて勝手ないいぐさに、知らず口許が緩む。

「はい、あたしのなかでは。あとはあたしの努力しだいってコトで」

 薄く、穂波も笑っている。

「なにがいいの? 俺の。別になんも特別なところ、ないと思うけど」

「全部ですよ、全部」

 穂波が、他愛もなく答える。

「全部ねえ…」

 なんとも抽象的すぎて、返事に困る。

 すべらかな言葉つらが、本能的に嘘くさくも感じた。

「あたしのことなんて、好きになってくれなくていいです」

 とん、と踵で調子を取りながら、軽く、聞きようによっては自虐的なセリフを、穂波がささやく。

「でも傍にいて、ときどき、キスでもしてくれたら、大満足! もちろん、ぎゅーもえっちもがんがんありです。ナマ女子高生、やり放題! かなりお買い得ですよ!」

 仕上げとばかりに張られた胸は、どうがんばっても小学生ばりのAAカップで。

「お前、それってかなり図々しくねえか」

 空回りする勢いに、俺は思わず、吹き出した。