「よしよし」

 代わりに、貴子さんの指が、髪をなでてくれた。

「気付けて、よかったじゃない。

 菅坂弟がどうであれ、あなたが、彼を好きだった気持ちは、あなただけのものよ」

 ゆるく、あやすように、貴子さんはあたしの髪を梳いてくれる。

 そのしぐさが、優しくて。

「うん……」

 あたしは、素直にうなずくことができたんだ。