「答えは、いりません。

 あたしなんか、好きにならなくていい。

 あたしが、好きでいるだけで充分」

 なんでこいつ、こんなに揺らぎがないんだろう。

 うらやましいくらいにきっぱりと、穂波が宣言する。

 そう、うらやましい――でも、ほんの少しだけ、イライラした。

 そんな俺を置き去りにして、穂波がもう一度――今度はもう少しだけ長く、重ねるだけのキスをしかけてくる。

 つたなくて、不器用なキス。

 でも、唇が離れるのが、惜しく感じるキス。

 芯の芯までクリアな笑顔で、穂波は笑う。

「好きです、コウヤくん」