「キョウヤくんから、コウヤくんとしよりさん、ふたりの話をいっぱい聞きました。

 正直、しよりさんの話は、キョウヤくんのドリーム入りすぎてて、微妙でしたけど」

 『けっ』とか吹きそうな顔で付け加えて、穂波は指先で、俺の汗で湿った前髪を揺らした。

「『俺と同じ顔してるのに、コウヤは俺よりもずっとアタマがいい』

 キョウヤくん、いっつもコウヤくんのこと、そんな風に云ってました。

 きっと、しよりさんはふたり並んでいたら、コウヤくんの方を選ぶって」

「なんだよ、それ……」

 ――それは、俺のセリフだろ?

 穂波の言葉を笑い飛ばそうとして、失敗した。

 できそこないの笑みは頬を掠めて、残ったのはハンパに歪んだ顔。