『そんなの聞いていられるか』とか。

 『逆に俺の質問に答えろ』とか。

 あまつさえ、『そんな後付けの云い訳なんて知るか。出て行け』とか。

 あとで考えれば、こっちから云いたいことだって山ほどあった。

 でも素直に頷いてしまったのは、風邪で弱っていたせいだと思う。

 結局、穂波に操られている。

「コウヤくん、ありがとう」

 穂波は、かなりほっとした風に、口を開いた。

 全然、緊張していたようには見えなかったくせに。

 ウサギの見掛けで周りをだまして、その実――誰よりも意地っ張りで、きついオンナ。

 それが、可愛くて仕方がない。

 無性にもどかしかった。

 一緒にいれば、許したいと思う、自分が。