「……」

 ぼんやりしたアタマのまま、ごそごそと探ると、額と首の後ろに、熱さまし用の冷感シートが貼り付けられている。

 ちょこん、とベッドの脇に椅子を据え、頬杖をつきながら俺の顔をつくづくと眺めている、こいつの仕業らしい。

「穂波……」

 名前を呼ぶと、バカみたいににっこり、心底嬉しそうに笑う。

 ざわざわと、胸の奥でなにかが疼いた。

「具合、大丈夫ですか? 

 せっかく目が覚めたんですから、なにか胃に入れて、薬、飲みません?」

 穂波は軽やかに立ち上がって、部屋を出て行こうとする。