ぽっかりと、夢の海の底から浮かび上がるように、目が醒めた。

 額に浮いた気持ちの悪い汗をぬぐおうと、無意識に手をあげる。

「コウヤくん? 気が付きました?」

 目を開けると、当然のことのように、ヤツがいた。

 ふわふわとした髪を、横にひとつで纏めて、当たり前みたいに制服のうえにエプロンをつけている。

「コウヤくん? 起きてます?」

 ひらひらと、目の前で小さな手のひらをひらめかせる。

 あまりにも、『普通』な穂波。

 なんだか、夢と現実が交じり合って、混乱した。