熱に浮かされて見る夢は、夢の主に安息をもたらさない。

 いくつもいくつも、短い夢を見た。

 二人分の誕生日を、しよりやさよこ叔母が祝ってくれたこと。

 しよりと、一番最初に寝たときの気恥ずかしい記憶。

 三人一緒だからどこかゲーム感覚が抜けず、代わる代わる教え合った、受験勉強。

 当たり前みたいに、馨也が横でバカ笑いしていた過去。

 現実と取り違えてしまいそうなほどリアルで、意識が浮き上がっても、迷った。

 馨也がいない今と夢、どっちが本当なのか。答えが染みるまで、一瞬揺らぐ。

 ――それと。

 『あたし、あなたの彼女になることにしました!』

 いやに力強く宣言するヤツの、赤らんだ顔。