パタパタと、上履きの音をたてて穂波が走る。

 ずるずると、腕を取られて引きずられていく俺の姿。

 少々――いやだいぶ、まぬけだ。

 中央階段を折れて左に一歩。

 少し日が入らないだけで、なんでこんなにさびれて見えるのか、という扉の前で、穂波は止まった。

 想像したよりずっと体温の低い手が、あっさり離れる。