チープなプラスチックレバーが並ぶ、錆の浮いたコンソール。

 無造作に積み上げられた音響機材。

 仕切られたガラス窓の向こうには、漫画や雑誌や、骨董品のブラウン管テレビや、まだ存在していたのか! と驚かされるような旧世代ゲーム機が転がってる。

 全てに、静かに均等に降り積もった年代物の気配。

 職員室の真隣りという最悪のロケーション。

 それが、初めて入った放送室だった。

 『ここに似てるものひとつあげろ』って訊かれたら、俺は、『打ち捨てられたシェルター』って答える。現役ばりばりじゃなくて、廃棄後数十年って感じのヤツ。

 そんな風に、分厚いドアで隔離されてるせいか、ちょっと現実からズレた、妙な雰囲気の場所だった。