「コウヤくん」

 夏の陽気にやられたアタマに、響く声。

 掠れた声が、彼女らしくない。

 いつから立っていたのか、むきだしの肩は、日にさらされて真っ赤に染まっていた。

 でも、甘く微笑んだ顔は、俺の知る彼女らしくて――余計、違和感と苛立ちが募った。

「話を、したいんです」

 一歩、踏み出して彼女は云う。

 店を飛び出した後すぐに、着たままだった制服のシャツは、クリーニングに出して送り返した。

 それで、俺の意思は伝わったと思う。

 突然バイトに逃げられたかたちになった店から、連絡は全くなかったから。

 もちろん、それは彼女も含まれているはずだった。