しよりの身勝手が引き出してきた、ろくでもない想い出。

 それらは、充分に俺を消耗させた。

 畳に転がったいながらにして、1万メートル×10セット、全力疾走させられた気分になる。

 忘れてたのに。

 せっかく、忘れていられたのに。

「……ずるいな」

 仕方なく、俺は苦笑した。

「云われなくても、知ってるわよ」

 自己申告で卑怯者のくせに、しよりは、俺のセリフに過敏に反応した。

 絞め殺しそうな目で、ぎろりとにらんでくる。

 ――本当に、身勝手なオンナ。